第38回全国高等学校クイズ選手権、通称高校生クイズ。
久々に高校生クイズを見た。
最後に見たのはいつだったか……。
優勝したのは、三重県立桜丘高校。
昨年から二年連続制覇らしい。
その熱意と発想力の豊かさには、脱帽というよりほかない。おめでとうございます!
……で、番組としての完成度はどうだったか、と言うと。
結論から書くと、番組としては楽しかったが、私の知っている高校生クイズではなかった。
発想力やひらめき力を重視する、知識量や学力を問う形ではなかったことは、評価できると思う。
いいか悪いかは別。出題の内容としては面白かったし、正解が分かったときの「なるほど!」感、なるほどそういう考え方か、と気づかされる感覚は、かなりのものだったと思う。
しかしながら、やはり高校生クイズの魅力はそれじゃない感が、あちこちに。
まず、今に始まったことではないが、タレントの出演者数が多すぎる。
タレントが画面に出れば出るだけ、コメントをすればするだけ、主役たる高校生の出番が少なくなってしまう。
もうひとつ、今さらながらに思うのは、出演者である高校生の紹介の仕方。
所詮、高校生たちはテレビ番組的には素人。その素人に喋らせる機会を与え、それぞれの個性を引き出す方法が、以前に比べて極端に陳腐化している気がする。
これは、かつての司会者である福留功男アナ、あるいは福澤朗アナのパーソナリティによるところもあったかもしれない。だが、彼らは高校生に向き合い、彼らの喜怒哀楽を引き出し、高校生らしい清々しさや純朴さを引き出していた。
それらが、今の番組作りでは、タレント群の無駄なコメントに置き換えられてしまっている。
そして、これはウルトラクイズのキャッチコピーなのだが、高校生クイズでも共通して言えたのは、番組の主役は『敗者』であったはずなのだ。敗れていった高校生たちの叫び、涙、そして笑顔。そこにほとんど触れることなく、あくまで普通のクイズ番組として進行していく展開に、番組の深さが感じられないのは、私だけだろうか。
高校名のテロップが出るたびに、いちいち偏差値が併記されているのも、やや引っかかる。誰の目にも分かりやすい評価数値を出したくなる気持ちも、わからんではないのだが。
とにかく、もったいない気がする。
いろいろなキャラクターを持った高校生がいたはずだ。楽しい子も、まじめな子も、クイズに強い弱い以前に、純粋にクイズに向き合う高校生たちがいたはずなのだ。なんとなく、高校生がタレント群の引き立て役になってしまっているような錯覚すら覚えてしまう。
もっと、負けていった高校生たちの姿が見たい。
敗者としてのみじめな姿を、というわけではなく、一瞬一瞬にすべてをかける若さの輝きというか、きらめきというか。そういったものを表現することはできないものか。
やはり、私が高校生クイズに求めているのは、ドキュメンタリー性なんだなあ。
手元にあるVHSの第5回高校生クイズ(1985年放送)でも見て、感慨に浸るとするか……。
- ドラマ『ハゲタカ』テレ朝版のあとにNHK版を見て、あらためて感じたこと
- 再放送で約20年ぶりのご対面、ジェットコースターサスペンス『もう誰も愛さない』
- 最近、地デジ放送の特定チャンネルでノイズが酷いとお感じの方、チャンネルの再設定を..
- それは悲しくも幸せな物語、北海道文化放送開局40周年記念ドラマ『バッケンレコード..
- お正月・ビデオ三昧大感想大会(3)〜原作ファンなら涙もの?『劇場版・逆転裁判』
- お正月・ビデオ三昧大感想大会(2)〜北海道民以外の見え方が気になる『探偵はBAR..
- お正月・ビデオ三昧大感想大会(1)〜タイトル自体が無理な話『外事警察・その男に騙..
- 警察とヤクザのスパイ潜入ドラマ『ダブルフェイス』、名場面を彩った名優たち